一戸建ての新築工事は地盤調査から建物完成までいくつかの工程が連続する建設工事です。家そのものを建てる工法には違いがあっても、地盤調査、防水工事、断熱工事など共通している部分もあります。一戸建てが完成するまでの大まかな流れは次の通りです。
基礎工事を始める前に地盤調査会社による地盤調査が行われます。地盤強度などその土地の地盤についてまとめた報告書に従い、基礎の設計、地盤補強工事などが実施されます。
住宅建設地の地盤が弱かった場合、建物を安全に支えるための地盤補強工事を行います。住宅の基礎となる地盤を、適切な状態にする工事が「地盤改良工事」です。地盤が弱いと、時間が経過するにつれ地盤沈下が起こり、建物が倒壊する危険性が高まります。
表層改良工法表層改良工法は、セメントを使用して地表周辺を固める地盤改良工事のことで、地盤の軟弱な部分が地表から2mまでの浅い場合に用いられる工法です。表層部の軟弱地盤部分を掘削し、セメント系固化材を土に混ぜて十分に締固めて強度を高めます。
柱状改良工法柱状改良工法は円柱状に地盤を固めた改良杭によって建物を支える地盤改良工事のことで、軟弱地盤の深さが地中2~8mの場合に用いられる工法です。地中に直径60cmほどの穴をあけ、良好な地盤まで掘ります。地盤を掘る過程で水を混ぜたセメントを注入して土と混ぜて撹拌し、円柱状の固い地盤を築くことで強化する仕組みです。
小口径鋼管杭工法小口径鋼管杭工法は、鋼管で地中から建物を支える地盤改良工事のことで、地中30mまでの地盤補強が可能です。地中深くにある固い地盤に鋼管の杭を打って、建物を安定させます。工事に掛かる日数も1~2日程度のため、短い期間で工事を終わらせたいという方にもおすすめです。また、小口径鋼管杭工法は狭小な土地など、重機を搬入しにくい場所での工事にも適しています。
基礎の土台部分を作る基礎工事には次のような流れで行われます。
配筋工事捨てコンクリートの上に鉄筋を格子状に組みます。
コンクリート流し込み鉄筋の縁を木製の型枠で囲い、コンクリートを均一に流し込みます。その後、コンクリートの中の空気を抜く作業を行い、ビニールシートを上から敷いて数日間養生させ、基礎の完成です。
主要な構造材を組み立てる工事を建て方工事といいます。木造住宅ならば土台の据え付け、柱、梁、胴差しの設置など以下のような作業工程があります。
基礎バッキン基礎と土台の間にはさむゴム製品、バッキンを取り付けます。基礎と土台の間に隙間を作り、床下に湿気がたまりにくくします。
1階工事土台の上に柱を立てていき、柱と柱を梁や胴差しでつなぎます。2×4工法の場合は壁パネルを使用します。
2階工事1階の天井を床として、2階に柱を立て、柱と柱を梁や胴差しでつなぎます。2×4工法の場合は壁パネルを使用します。
屋根工事同様に外壁工事も防水が重要です。
防水処理外壁下地に耐久性のある特殊な防水シートを貼っていきます。
外装材施工防水材シートの上に外装材を施工していきます。この作業が完了すると、いよいよ建物の外観がわかるようになります。
建物の外観ができたところで内部の仕上げに入ります。まず、快適な住環境を作るために断熱工事を施します。
硬質ウレタン吹付け柱と柱の間に硬質ウレタンフォームを吹き付けて充填します。硬質ウレタンフォームはさまざまな素材と自然に接着するので断熱層を作るのに最適です。吹付けが終わったら内壁面に合わせて表面をカットして、その上から内装材や化粧材を施工していきます。
ポリスチレン保湿板床下にポリスチレンフォーム保温板を隙間なく施工します。床下から冷気が室内に入ってくるのを防ぎ、基礎を断熱し、住宅の断熱性と気密性を向上させます。
窓ガラスの他、キッチン、洗面所、トイレなどの設置物の工事を行います。設置物はそれぞれの家の設備仕様に応じて異なります。たとえば、温水床暖房設備を取り付けるならば、床下暖房温水配管、各種配線などが必要になるでしょう。
建物内部の床、壁、天井の仕上げ工事を行います。塗装、クロス貼り、フローリング貼りなどが行われます。戸、ふすま、障子などの建具を取り付けていよいよ建物の完成です。
以上のように外装、内装、設備のすべての工事が完了したところで、植栽などの外構工事が実施されます。他の工事と同時に行う場合もあります。